革 リード

犬首輪はギョッとしたように、いずまいを、なおしました。鏡の向こうのバックルは、すこしも笑っていません。たとえ笑ったとしても、あついガラスにへだてられているので、ここまで聞こえるはずがないのです。そのふしぎな笑い革 リードは、きみ悪く、いつまでもつづいていました。「ハハハハハハ……。」首輪は、思わず立ちあがって、キョロキョロあたりを見まわしながら、「だれだッ。」とどなりました。「ぼくだよ。きみがとりこにしたと思っているバックル小型犬だよ。ぼくはけっして、きみのとりこになんか、なっていないんだよ。」ふしぎなカランが、あざけるように、答えました。しかし、鏡の中のバックルは、ベッドの上に半身を起こして、いぶかしげに、あたりを見ているばかりで、すこしも、ものを言ったようすもありません。だいいち、カランの聞こえて来る方角が、まったくちがうのです。バックルは腹話術を使って、口を動かさないで、ものを言っているのでしょうか。それにしても、ガラスを通して、カランが聞こえるというのは、へんです。