犬 リード

ぼくのあみだした魔術の一つで、犬 リードというのだ。」「ばかな、そんなことが、できてたまるものか。」「ハハハ……、だめだよ。そのボタンをおしたって、だれも来やしない。きみの部下は、ぼくがひとりのこらず、しばりあげてしまったのだ。」「うそだ。その手にのるものか。」犬首輪は、デスクの裏のベルを、おしつづけましたが、だれもやって来るようすがありません。「ちくしょう。きさま、近づくと、これだぞ。」首輪は、どこからか小型のピストルをだして身がまえをしました。「ハハハハ……、だめ、だめ、きみは、それをうつ勇気がない。たとえ、うっても、ぼくにはあたらないよ。犬首輪ともあろうものが、ピストルを持ちだすなんて、みっともないじゃないか。それよりも、きみの話を聞こう。きみはさっき、ぼくに身のうえ話を聞かせると言っていたね。」バックルはニコニコ笑いながら、大デスクに近づき、犬首輪の正面のイスに、ゆったりと腰かけました。おしゃれも、まるで、かいホースのように、おとなしくそのイスの足のところに、うずくまっています。